(以下2011年の投稿記事)
hp200LX修理:コネクタに起因する表示欠陥に対する最後の修理方法 Ultimate repair method as opposed to display defect. Connector connection by direct soldering.
最近、立て続けに液晶の表示不良の修理を行いました。
どちらも、予備機で使用していなかったものです。
1年から数年、保管していたものですが、電源を入れたところ表示が乱れてしまうという状況でした。
結局のところ液晶裏のスポンジが圧力を与える機能を失い、接触不良となるものでした。
これは、200LXに必ず生ずると言ってよい症状です。
200LXが開発された当時は、それほど長期間使われることを想定しておらず、性能対コストの面から採用された簡易な構造によるコネクタ接続がもらたした結果と言えます。
hp社が、反対運動があっても200LXの製造販売修理を中止したことは、企業として正しい判断だったということです。
200LXは、使わずに保管しているだけでも筐体が割れ、液晶が劣化し、スポンジが硬化し、半田が軟化してきます。
ある意味生き物のような機械です。
新品の200LXを保管している方がおりましたら、取り出してまともに使えるとは思わない方が良いです。
まず、ヒンジが硬くなって(グリスの変質硬化による)いますので、数度の開閉で割れが入ります。
最良の保管方法は、すべての部品単位に分解しておくということです。
窒素などで封入し、酸素や光や高温に触れない環境が良いでしょう。
そして、使う際に組み立てる。 あるいは劣化した部分と交換するということが対策です。
何が言いたいのかと言いますと、当方で修理して、数年保管して取り出したら故障が再発していたということがあっても驚かないでくださいということです。
十分ありえることです。
今回は、そういう状況を減らす試みの紹介です。

001
コネクタの半田接続実例1:
これは、液晶部分のコネクタ(電気的接続部)です。 001
液晶基盤(左)の電極部(金メッキ)に対し、右側のフレキ(柔軟電極、金メッキ)が重なり、スポンジで圧されることで接続導通します。
まず、フレキ上にある電極の端部に半田メッキ(はんだを少し付着させる)をします。 002
基盤側(液晶基盤)のコネクタ端部にも、半田鍍金(めっき)を行います。 003
次に、コネクタ(端子)の位置を合わせ、半田メッキ部同士に熱を加える。 細い先端で押さえると、半田が水玉のように、はみ出してきますので取り去ります。 004 この際、半田ゴテを半田メッキ部分にしっかり触れさせないと、半田は溶けず、したがって接続できません。 電極の裏を暖め(コテを当て)ても半田は溶けず、いたずらにフレキの素材を傷つけることになります。

006
コネクタ部はきれいに、かつ密着して接続されます。
電気的にも接続されたことを確認するために、基盤をつなぎ、電池を取り付けます。
すると、液晶に正常な表示がされていることを確認できます。006
この接続方法は二度と元に戻せないことを前提にしています。
、つまり液晶とフレキは一体運用されます。 ひとつの部品になったということです。
これは、フレキ切れがあって、それを修理したので、フレキには不具合が生じないと考えたものです。
(写真をクリックして拡大させると、フレキの修理跡が見えます。 2本バイパスさせています。)
(半田接続部に無理な力を与えると、フレキは簡単に切れてしまいますので、取り扱いには注意が必要です。)

007
コネクタの半田接続実例2:
次の接続例は、元に戻せる可能性を残した半田接続です。
今後フレキが切れた際には、一旦外した方がやりやすいからです。(上の接続例1の方法でも、フレキ修理が不可能というわけではありません。)
基盤側のコネクタ横の穴(スルーホールに、細線を接続(半田付け)します。 008(接続途中)
フレキ側には、極一部だけに半田メッキを行います。 009
基盤、フレキ両方とも、金メッキ部分に半田が乗らないようにマスキングしています。
電極のすべてを細線で接続します。 011
電極(金メッキ)部分には、半田が乗っていません 012ので、細線を取れば元に戻せます。
013
接続語に液晶部分の動作を確認する。 013
液晶筐体に組み入れる際には、細線がポスト(取り付けねじ部)に当たらないように注意します。 穴にワイヤ(細電線)がかからないように位置させる。016
また、スポンジは入れていません。 014
この半田付け接続により、液晶部分の不具合は激減すると考えます。
液晶不良に悩まれる方は、実施してみてください。
ただし、半田付けには相当なテクニック(熟練)が必要です。
2011.10.29








